すべてがうまくいく「幸せ」のエッセンス‥前回の「インナーチャイルドを癒す」の記事の続きです。

傷ついたインナーチャイルドのパターンの例を挙げ、ヒプノセラピーのセッションを通じてどのようにそれらを解放していくかを綴っています。

今回は「望まれなった子ども」をインナーチャイルドに抱えている例です。

結婚前の妊娠は、以前は「出来ちゃった結婚」と呼ばれていましたが、今は「授かり婚」や「おめでた婚」という素敵な言葉に変わっているようです。

「出来ちゃった」という言葉が決していけないわけではありませんが、言葉には響き(言霊)があるので、祝福が感じられる言葉を使うほうが、それをお腹のなかで聞いている「胎児」にとっても、安心感となることでしょう。

胎児にも聴覚があることは科学的に研究されていますが、それだけではなく、胎児の時代はこの世界で唯一、母子が完全に密着している状態なので、聴覚を経由せずともダイレクトにお母さんの思いや言葉が伝わります。

お母さんにとって妊娠が予期せぬ出来事であったり、様々な事情から子どもを産み育てる事が困難だと感じられる場合には、妊娠に対してネガティブなイメージしか持てないケースがあります。

(子どもなんて、望んでいなかったのに)と、お母さんが胎児に対して思う時、胎児はその思いを敏感に感じ取っています。その思いは「バーストラウマ」と呼ばれる胎児期あるいは出産時に潜在意識に刻まれる心の傷となり、潜在意識にしまわれたまま、その後の人生の折々の場面で、その人自身にも理由の分からない負の感情の噴出となることがあります。

ヒプノセラピーでのインナーチャイルドは幼少期に退行しますが、そこからさらに遡って胎児期(インナーベビー)まで退行することが出来るので、そのような場面が浮かんできたら、その方自身が望む方法で負の感情を解放させていきます。

潜在意識のなかでインナーベビーからお母さんに対して「そんな事思わないで。お母さんは私のこと、きっと好きになるよ」と伝えたり、お母さんに「あなたの事を一瞬でもいらないなんて思ったことをどうか許してね」と謝ってもらうことも出来ます。

そうして、なんらかの方法で心の傷が解消できれば、それが潜在意識の解放につながっていきます。

さらに、人によっては幼少期に親から「あなたなんか要らなかった。生まれて来なければよかったのに」という辛い言葉をかけられるケースもあります。

そうした言葉を日々何度も言われると、非常に深刻な心の傷となって成長した後にも強い影響を及ぼします。

大人になってからも、怒り、悲しみ、無力感、孤独、あきらめ、自己破壊的な思いにつきまとわれ、自分は親にとっても、この世界にとっても不要な人間であるという思いを抱え、自尊感情が育たないまま人間関係、特に親や自身の子どもとの関係性を築くのが困難になるケースが多々あります。

身体的には虚弱であったり、常に身体が冷えていたり、生きるための積極性に乏しかったり、時には死のイメージに非常に誘われやすい人もいます。

人によっては、うつ病などを起こしているケースもあるため、そのような場合は医療を優先し、ヒプノセラピーはお断りしています。

そうでなくても、あまりにも辛い経験をしてきた場合には幼少期に退行しようとすると意識がブロックして気づかぬまま眠ってしまったり、幼少期の場面が全く想起できないことがあります。

そのため、幼少期への退行は準備が出来ているかどうかを事前カウンセリングで見極め、今は難しいと感じた場合は他の方法やセラピーをおすすめしています。

「望まれなかった子ども」を抱えているインナーチャイルドには、その言葉を言われた年齢の自分自身に戻って、親に対して「小さな自分」が言いたかったことを伝えて感情を解放させる方法を取ります。

「そんなこと言われなくない!」、「すごく辛い、嫌だ、悲しい」、「大人になった今でもずっと苦しんでいる」、その人なりの思いを潜在意識下で親に対して伝えていきます。

なかには言葉だけではなく、小さな子供の手で親をぽかぽか叩くという方法を取った人もいました。

その場面になると、多くの方は涙とともに怒りや憤り、悲しみなどの感情を噴出されるのでハンカチやティッシュの用意が欠かせません。人によっては号泣される場合もあります。

その結果、潜在意識下で親が「ひどい事を言って本当に悪かった」と子に謝ってくれる場合もあれば、その親もまた同じ言葉を親から言われてきたことが分かり、親の気持ちを理解することで癒しにつながるケースもあります。

なかには親がどうしても許せず、親との対話が困難な場合には、親に代わる人(祖母や叔母など)に出てきてもらい、問題の解決を求める場合もあります。

もしくは、大人になった自分自身が幼少期の自分を抱きしめ「私がついているから大丈夫、あなたはこの世界にとって本当に必要な子どもだよ」と伝えてあげることもできます。

こうした場面でも涙を流す方が多いのですが、それは号泣ではなく、穏やかな光に満ちた魂からの涙であることが多く、対面しているセラピスト自身も深く癒される貴重な瞬間です。

ひとしきり感情の解放が行えたら、辛かった幼少期や胎児期を光で包み、浄化、祝福して現在の世界に誘導して戻ってきます。

時間があれば半年後や一年後の未来に時間軸を移し、インナーチャイルドが癒された「大人のあなた」が、この世界のなかで楽しい時間を過ごしている場面を体験してもらいます。

インナーチャイルドは過去に存在しているのではなく、今と未来につながっているので、その人のなかのインナーチャイルドが癒されると今と未来が変化し、人生に希望が湧いていきます。

実際のセラピーの場はきれいごとだけではないですし、凄惨なケースも多く、一回のセッションでどこまでお手伝いできるかを常に模索しながら向き合っています。

「望まれなかった子ども」を抱えているインナーチャイルドたちへ。

過去は変えることはできないけれども過去の出来事が癒える方法はこの世界にいくつか用意されています。

親の言葉の影響から抜け出し、自分という存在が祝福に値する、この世界でかけがえのない存在だと自分自身で気づける方法はあります。

この世界に望まれずに生まれる子どもは一人もいません。

そのことを真の意味で理解できる方法のひとつがヒプノセラピーであり、インナーチャイルドの癒しです。

次回もまたインナーチャイルドの記事を書いていきますね。