すべてがうまくいく「幸せ」のエッセンス‥インナーチャイルドの癒しについてシリーズで綴っています。しばらく空きましたが今回もその続きです。

前回のテーマ「ヤングケアラー」は、しばらく前から社会問題として取り上げられていて、今では多くの方がこの言葉を見聞きし、知るようになりました。

ヤングケアラーは今の時代だけではなく、昔々の時代から存在していて、大半は貧困が原因で小さい頃から労働や子守をする子供たちがいました。

私の祖母くらいの世代からは、昔語りにその辛さを聞いた覚えがあります。

以前に音楽療法をしている方から、日本の昔の子守歌のなかには子どもの労働の辛さを歌っているものがあり、それを聞くと物悲しくなるのでセラピーには向かないことがあると聞いたことがあります。

「五木の子守歌」などはとても良い歌だと思いますが、確かに聞いているとしみじみと哀しくなります。(その哀調が私は好きです)

さて、今回のテーマは「隠れたヤングケアラー」、「見えにくいヤングケアラー」とも言える、親の感情を押し付けられてきたインナーチャイルドのケースです。

労働や家事をしてきたヤングケアラーとは異なり、親の感情の御守り(おもり)をさせられてきた子供たちです。

私自身がこのインナーチャイルドを抱えてきて、そのことに自分で気づくまで長い時間がかかったため、外からは見えにくいパターンだと感じてきました。

親の感情の御守りとは、親のネガティブな感情を常日頃から「あなたのせいで」と押し付けられることで、今でいう「モラルハラスメント」に当たります。

自分に何か嫌なことがあった時、それを子どもに原因があるとするのは、親としてとても未熟な態度です。理不尽な八つ当たりとも言えるいわれなき責任の押しつけであり、小さな子どもにとって、それは相当に重い心への負担となります。

子どもの未熟さを補うのが親であるのに、親がその未熟さを子どもに補わせようとするのは親が子どもに依存しているためで、子どもはそのことに対する罪悪感や恥辱感、怒りや悲しみ、理不尽さを抱えながら生きることになります。

このインナーチャイルドのパターンは成長するにつれて感情のコントロールが難しくなったり、人への不信感や依存心が強く出てくることがあります。

激しい暴力などを伴わないので外からは分かりにくく、表面的には「普通の家庭」と思われており、子ども本人もそのように認識していることがあります。

けれども、このパターンのインナーチャイルドは、言ってみれば日々少量ずつの毒を心に盛られているようなもので、長い年月をかけて心に毒が行きわたってしまうことになります。

「毒親」の言葉もよく聞かれるようになりましたが、この言葉がこれほど広がったのは、親子の問題の本質を端的に言い当てているからかもしれません。

毒親とは、1999年に日本で発刊された「毒になる親」スーザン・フォワード著、玉置悟訳(毎日新聞社)から来ていますが、私も持っているこの本の帯書きはこうです。

「子供は一生苦しむ 毒になる親に傷つけられた子供の心は、歳を重ねても癒されることはない。不安、怒り、過剰な義務感、つきまとう罪悪感‥‥。子供時代に植えつけられた感情の種が、大人になったあなたに害を与え続ける。親に奪われた人生を取り戻すために、あなたがそういう親にならないために。勇気をもって、本書を開こう。」

手にした当時、まさに出るべくして出た本だという思いがしました。

今回のインナーチャイルドのパターンで最も大切なのは感情の解放です。

特に怒りの感情の解放、そして悲しみの感情の解放に焦点を当てて行います。

インナーチャイルドが潜在意識下で親との和解が出来れば良いのですが、出来ない場合は大人の自分が子どもの自分を抱きしめてあげ、あなたは少しも悪くない、もう誰もあなたを傷つけはしない、あなたに責任を負わせないと約束してあげます。

ヒプノセラピストはインナーチャイルドが安心できるまで、インナーチャイルドに寄り添って支援します。

セラピーを通じてクライアントの「小さな○○ちゃん」とのやり取りは、私自身を幸せにしてくれます。

辛い思いをしてきたインナーチャイルドが光に包まれるまでの過程をともに出来ることは無上の喜びとなります。

また次回もインナーチャイルドについて書きます。