すべてがうまくいく「幸せ」のエッセンス‥インナーチャイルドの癒しをテーマにシリーズで綴っています。

今回は「叱られなかった子ども」をインナーチャイルドに抱えている例です。

いろんな傷ついたインナーチャイルドの例を書いてきましたから(叱られなかったのなら傷ついていないのでは?)と思われたかもしれませんね。

けれども、このタイプのインナーチャイルドは、実際にはとても深い心の闇を抱えています。

このインナーチャイルドを抱える人が自らセラピーを望んで受けに来ることはほとんどありません。なぜなら、物事や人間関係が上手くいかない時に自分に原因があるとは、まず考えないからです。

むしろ、このタイプのインナーチャイルドを抱える人との人間関係に疲れて、セラピーを受けに来る人の方が、自分自身の内面と向き合おうと努力する傾向にあります。

叱られなかった子どもが成長すると、自己主張が強くてわがまま、親や人がしてくれるのが当たり前、悪いことは何でも人のせい‥などの身勝手で社会性に欠ける人間に育ちます。

「モンスターペアレント」と呼ばれる人たちも、このインナーチャイルドを抱えている事があります。

理不尽なほどに自分大好き人間、自分に極端に甘いのも特徴のひとつです。

「自己愛」は、近年の精神世界やインナーチャイルド療法でもよく言われるキーワードですが、このタイプのインナーチャイルドに見られるのは「自己だけ愛」であると私は感じてきました。

「自己だけ愛」は、もちろん「自己愛」ではなく、さらにいえば、それは「愛」ですらありません。

子ども時代、叱られるべき時に叱られなかった、金品や身の回りのお世話などのすべてにおいて甘やかされてきた、過保護で育った、溺愛されてきた、そのような子どもは「スポイルド・チルドレン」と呼ばれています。

「スポイル」(spoil)とは、台無しにする、甘やかして人の性質をだめにする、の意味で、スポイルされた子どもは親の間違った愛(エゴ)によって貴重な子ども時代の成長の機会を取り除かれてしまったインナーチャイルドです。

こうしたインナーチャイルドも、いずれは親が亡くなり、周りからも人が離れていってしまった時、あるいは本当に自分が変わらざるをえない事が起きた時、そこではじめて自分を振り返る機会が与えられるのかもしれません。

自分がスポイルドチルドレンだったと気づけるまで、人によって長い年月がかかる事がありますが、その時にはヒプノセラピーで幼少期に退行し、真実の愛とは何であったのか、自己探求する時が来ることを願っています。

人からの言葉に聞く耳を持たないのが「叱られなかった子ども」のインナーチャイルドのパターンですから、アドバイスやメッセージが今すぐ心に届くことはないと思っています。

ただ、いつの日か深く癒される時が来ることを、静かに願っています。

次回もまたインナーチャイルドのことを書きますね。