すべてがうまくいく「幸せ」のエッセンス‥インナーチャイルドを癒すをテーマにシリーズで綴っています。
今回は「親の言う通りにしてきた子ども」をインナーチャイルドに抱えている例です。
これは前回の「親の顔色を伺ってきた子ども」とも重なっており、「良い子症候群」とも呼ばれています。
傷ついたインナーチャイルドの多くは一つのパターンではなく、いくつかのパターンが複合的に組み合わされており、身体的虐待が必ず心理的虐待を伴っているように、何層にも深い複雑な心のひだを作っています。
「親の言う通りにしてきた子ども」は、いわゆる「良い子」であり、親にとって「手のかからない子」、「聞き分けの良い子」で、親のエゴにとって理想的な子どもです。
親の敷いたレールの上を歩き、親が決めたルールに従い、反抗したり、だだをこねたりしないので、子どもらしくないのですが、それは親に逆らえない、逆らおうとするとひどく叱られる、言いつけを守らなかった時の親の悲嘆ぶりやキレようが怖い‥そうせざるを得ないため、そうしてきた子どもとも言えます。
このタイプのインナーチャイルドは、親がすべてを決めてしまうので、友達づきあい、塾や習い事、進学、門限、食べるものや髪形、着るものに至るまで、あらゆる場面で子どもの意志が通ることがありません。親ルールに則った窒息しそうな苦しい子ども時代を過ごすことになります。最近言われている「宗教二世」も強制されているのであれば、これに当てはまります。
子どもは、どんな親であっても親に愛されたいと願い、親に気に入られようとして一生懸命振舞います。親の笑顔、親の喜ぶ様子、親から褒められ、認められるのは、子どもにとってこれ以上ないほど嬉しいのです。
親の側も同じくらい、それ以上に子どもを愛することが出来れば、傷ついたインナーチャイルドなど存在しないのですが、残念ながら現実はそうではありません。
親の愛は無償だと言われていますが、傷ついたインナーチャイルドの多くは親の愛を「勝ち得る」ための代償を要求されています。
このタイプのインナーチャイルドは自分の要求が通らないまま成長するため、思春期を迎えると不登校、素行不良、家出、他者への暴力やいじめ、家庭内暴力、自傷、引きこもりなどの「インナーチャイルドの大暴走」を起こすことがあります。大人になってからも心の抑圧から、うつや心身症、依存症などを発症する場合もあります。
強く傷ついたインナーチャイルドを抱えている大人は「出来る限り親と別居する」のが望ましいのですが、精神や身体の疾患があると環境的にも経済的にも難しいため、それに対してはいつもジレンマを感じてきました。
セラピストに出来るのは本当にささやかな援助でしかない、と自分に言い聞かせながら、後でため息をつくことがあります。
「親の言う通りにしてきた子ども」の解放には「共感と受容」が何よりも癒し薬になります。
潜在意識下にいる「愛情深い親」あるいは「大人の自分」がインナーチャイルドの願いや要求を聞き入れ、そのすべてを叶えてあげられるように誘導します。
「愛情深い親」とは、インナーチャイルドが「こんな親だったらいいのにな」と感じてきた理想的な親の姿です。
それは、時に友達の優しいお母さんの場合もあれば、ホームドラマに登場するタフで優しいお母さん女優であることもあります。そのように現実の親でない場合でも、インナーチャイルドがその親を理想とするのであれば、潜在意識下に埋め込みして感情を解放させます。
だからこそ、家に帰った時に現実の親と生活を続けていくことの難しさがあるので、事前カウンセリングの聴き取りは慎重に行っています。
「親の言う通りにしてきた子ども」をインナーチャイルドに抱える方へ。
もし、出来るのであれば実家を出て自立への一歩を踏み出せますように。
そのための準備や支援制度について考えることも、自立のための一歩になります。
次回もまたインナーチャイルドのことを書きますね。