すべてがうまくいく「幸せ」のエッセンス‥インナーチャイルドを癒すをテーマにシリーズで記事を綴っています。

今回は「家族を喪った子ども」をインナーチャイルドに抱えている例です。

幼少期に家族を失うのはインナーチャイルドに大きな影響を与えます。まだ死が理解できない年齢であっても、死による家族の不在は潜在意識のなかに様々な思いを残します。

お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、そして兄弟・姉妹の死‥

病死、事故死、災害による死、そして自死の場合も含めて、死とそれに伴う環境の変化は子どもの心に深く刻まれ、成長の折々に何らかの感情を伴って現れることがあります。

 

「お父さんは遠いところへ行った」

「お母さんはお空のお星さまになった」

「お兄ちゃんは神様のところへ行ったのよ」

 

小さな子どもに対して、周囲の人たちは、そんなふうに説明してくれたかもしれません。何が起こったのか理解できなくても、これまでいてくれた家族とのお別れは潜在意識のなかに言い知れぬ悲しみや寂しさ、戸惑い、心配、時には後悔や自責の気持ちを残すことがあります。

 

(どうして私を置いて急にいなくなっちゃったんだろう)

(他の子には、お母さんやお父さんがいてくれるのに‥)

(自分が悪い子だったから、お母さんがいなくなっちゃったのかな)

(これから、家族はどうなってしまうんだろう)

 

家族の死を悼んで泣いている親族たちを見て、悲しみだけではなく、死に対する恐れを強く感じるインナーチャイルドもいます。

なかには家族の死に直面したことがトラウマ体験として残り、大人になってからもその出来事を思い出すのがとても怖かった方もいました。

そのほかにも、周囲の大人たちから「この子が可哀想だ」と何度も言われたことで、自分がみじめに感じられた経験を持つインナーチャイルドもいました。

「可哀想」という言葉は、つい悪気なく使いがちですが、自己憐憫を助長させるので辛い思いをしている人にかけるのにあまりふさわしい言葉とは言えません。

さらに、自死の場合は、家族や親族から自死であったことを周りに絶対に言ってはいけないと言われることがあり、残された子どもは誰にも言えないまま、ひとり悩み苦しむことになります。

最近は日本でも終活などの考えから死への捉え方が大きく変化してきましたが、それでもまだ死に対しては「忌み」の感覚が根強く残されています。

死の捉え方に対する意識の成熟度は、この社会の成熟度を表すと私は感じています。

死がどのようなもので、死後の世界とはどのようなものか、死者は「あちら側」の世界でどのように過ごしているのか‥それはヒプノセラピーで体験してみると本当によく分かります。

自死を選ばれた家族に潜在意識下で会うことは決して辛かったり、怖かったりするものではありませんよ、と伝えています。

インナーチャイルドのなかに家族を喪った子どもを抱えている場合は、その出来事を体験した年齢まで退行することも出来ますが、その方法以外にもヒプノセラピーのグリーフセラピー(悲嘆療法)を通じて、故人との対話として行うことが出来ます。

グリーフセラピーではイメージのなかで高原のお花畑のなかにある山小屋へと誘導し、部屋に二つ置いてあるソファの一つに自分が座り、もう一つのソファに亡くなった家族が来て座り、二人で心ゆくまで対話を行います。

これはゲシュタルト療法のエンプティチェア(空椅子の技法)を催眠下で再現するもので、とてもイメージしやすく、どなたも穏やかな気持ちで落ち着いて対話が出来ます。

グリーフセラピーでは、大人の自分が亡きお父さんやお母さんと対話することも出来ますし、自分が小さな子どもに戻った姿で亡きお父さんやお母さんと対話をすることも出来ます。

お父さんやお母さんに対して、ずっと訊いてみたいと思っていたことを訊いてみたり、インナーチャイルドとしての小さな自分の思いを伝えてみたり、お父さんやお母さんにその場で十分に甘え、抱きしめてもらうことも出来ます。

グリーフセラピーを通じて死生観が変化し、それまで死の世界に抱いていたイメージが劇的に変わる方も多いです。

死の世界はイメージで思い描いていたような冷たく寂しいものではなく、とても穏やかで、安らかであり、永遠の光に包まれている場所であることを、グリーフセラピーの体験を通じて多くの方が深く理解されてきました。

セラピーの見守り手である私自身も無上の思いが感じられるので最も好きなセラピーの一つです。

家族を喪ったインナーチャイルドを抱える人へ。

潜在意識下で、お母さんやお父さんにもう一度会ってお話をしてみませんか。

望まれる方には「後催眠暗示」を行いますから、ご自宅に戻られた後にも、静かな気持ちで目を閉じればいつでも亡きご家族に会うことが出来ます。

人生で迷った時に(こんな時、お父さんやお母さんがいてくれたら、なんて言ってくれるだろう)というあなたの問いに対して、潜在意識のなかにいるお父さんやお母さんから、いつでも答えをもらうことが出来ます。

次回もまたインナーチャイルドのことを書きますね。